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概要

広報はくば9月号

図書館等複合施設の建設に向けた検討(2) さわやかな静寂の空間にページをめくる紙音がささやく。エントランスが開く音と共に来館者と挨拶を交わす2人の図書館司書。白馬村図書館の日常が始まる。連載『図書館等複合施設建設に向けた検討』第2弾のテーマは「司書に訊く」。白馬村図書事情の現場、光と影を知る司書の〝生の声〟を。図書館司書とは?糸氏「司書の仕事は、利用者さんが必要とする情報を探して手元へお届けする、人と本をつなぐことだと思っています。大げさかもしれませんが・笑」松 沢「例えば……とある利用者さんが、白馬の中学に湯川秀樹さんが来校したときの文献と写真を探している、と。データを検索し、記憶の書庫をのぞき、あれやこれや探します。万が一手元になかった場合は県立図書館のデータへアクセスしたり。できる限りのことはやってみます」記憶に残る出来事はありますか?糸 氏「以前、徳本上人の石碑が飯田の南原墓地に1基あるはずだけど見当たらない。所在を教えてください、という方が来館されました。松沢さんが村内在住の識者に尋ねると、道路を挟んだ向かい側に移転されていたのです。すると数か月後。また同じ目的の方が。前回の方とは縁もゆかりもない。そんな偶然が。でもそのときはすぐに答えることができました。利用者さんの質問に育てられています」松 沢「何か面白いの教えて、ってふらりと顔見知りの人が来館されたり。以前は非日常的な出来事が、今では日常の挨拶みたいになって・笑」白馬村図書館ならではの個性、いい点を教えてください?松 沢「観光村ならでは、かもしれませんが白馬村図書館は短期滞在者の来館がとても多いという特徴がありますね。本来は住民票のある方、通勤通学の方でなければ図書カードをつくることはできませんが、1カ月程度の滞在でも図書カード発行が可能なのです」糸 氏「白馬は多様性を誇る村です。日常的に海外の方のご利用もあります。また一方では松沢さんのお話のとおり、地元の利用者さんとの距離感がとても近いです。読書傾向が把握でき、お好みの書籍を薦めることも。毎日が楽しいです」松 沢「概ね午前中は静かに過ごせる空間です。そして書籍の予約回転率が速い。繁忙期でも10人程ですから」糸 氏「読書好きの人が多いですね。頻繁に北アルプス連携自立圏・図書館相互利用サービスを活用している方もいらっしゃいます」悪い点は?松 沢「もっと広い空間と図書費予算が欲しい!」糸 氏「もっと欧文表記の書籍が欲しい!」白馬村図書館の未来像について?松 沢「施設の斬新さとかではなく、継続的・持続的サービスを提供可能な図書館になってもらいたい。昨今、メディアでは極端に注目を集める事象が信用される傾向があります。盛り上がる勢いは速くパワーもすごい。でもマンパワーの変化などであっという間に衰退してしまうのは残念なことだと思います。信州人の気質でしょうか?私は大きな変化に消極的なのかも……」糸 氏「10年、20年と住民と図書館が共に成長できる施設になってほしい。初めてこの図書館に来たときは小さくて暗い感じがしました。けれど今ではとても居心地のいい憩いの場所だと感じています。情報を求めに来館された方が白馬から情報発信する。閲覧の目的はないけれど、ふっと深呼吸するために椅子に座る。そんな〝ほっと〟する空間になってほしいです」  インタビューを終えてふと館内に目をやると、窓際の机に向かいページをめくりペンを走らせる利用者がいた。柔らかい陽光が彼女を包んでいる。司書たちがやさしさ溢れるまなざしでほほ笑んだ(了)。文/佐藤一石(集落支援員) 司書に訊く。初めての図書館での仕事は小学校の図書委員でした。そして村での仕事が10年。本の整理が好きだった、あの頃の気持ちを忘れずにいたいです。松沢 由美子一年奮起して資格を取得。勉強は大変でしたが、楽しかった!至らないことばかりで申し訳ありませんが、鍛えると思ってお付き合いを。お願いします。糸氏 志信4