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概要

広報はくば8月号

このたび、白馬村副村長としての2年間の任期を終えて、8月より総務省に戻ることになりました。着任以来続けてきたこの連載も今回が最終回となります。2年間という短い間ではありましたが、村民の皆さんには大変お世話になりました。若造を副村長として迎え入れて頂いたこと、仕事だけでなく、祭りや飲み会、イベント等色々な場面に招いて話をして頂いたこと、心から感謝しています。施策の面でいえば、観光財源、公共交通、図書館、白馬高校、働き方改革、地域循環強化等を手がけてきましたが、まだまだ道半ばのものばかりです。また、これ以外にもたくさんやりたいことはありましたが、やはり時間的な制約、マンパワーの問題もあり、やりたいことの10分の1もできなかったなというのが本音です。これらの施策に関しては村として引き続き取り組んでいきますが、今回は施策以外で私が白馬で思ったことを最後に書いておきたいと思います。一つ目は、白馬の強みについてです。今後、白馬村を含めて日本の人口はどんどん減っていき、それとともに地域の活力が失われることが懸念されます。地域の活力を維持していくには、新しい発想や新しい技術をフルに活用していかなければなりません。それには、何か新しいことをやっていこうという意気込みを持った人が1人でも多くこの地域にいることが重要です。発想は人間が生み出すものですし、自動運転、電子決済等、新しい技術はどんどん出てきますが、それを使うのは人間です。白馬の強みはこの「意気込みをもった人」がたくさんいることだと思っています。東京でバリバリ活躍する企業人、スキーや山が好きで移住してきた若者、外国から来て白馬で新たなビジネスを始める人、白馬育ちでこの自然を誰よりも知り尽くした人等、色んな人がこの小さな谷に集まって、多様性が豊かな環境がここにはあります。先日の若手職員合同研修会では、参加した若手の約9割が村外出身者でした。それだけ、白馬の地は人を惹きつける魅力を持っているということです。一方で、現在の白馬はまだまだこの人材のポテンシャルを生かしきれているとは言えません。私もこちらに来てから村の中で足を引っ張り合うような構図を何度か見てきましたが、何かに取り組もうとする熱量は村の活性化に不可欠な要素です。そういったことがなくなれば、白馬の活力はさらに増していくと思います。もう一つ、2年間の経験から私が重要だと思ったのは、コミュニケーションの大切さです。国と違って、村では村民の方々と行政の距離感が圧倒的に近いです。それだけに、人間関係次第でできること、できないことが大きく左右されます。東京では、論理的に正しい施策であればある程度進めていくことができますが、地域では、論理的に正しいことは当然の前提ですが、それだけでは施策は進みません。誤解を恐れずに言えば、最後は人間関係でできること、できないことが決まってくると感じています。私も、最初はよそ者に対するある種の物珍しさで見られているのを感じましたが、一度話をしたり、飲みに行けば、皆さんとても温かく接してくれ、その後で仕事の話をしにいったときも非常に話が進みやすかった気がします。「ちょっと一杯やっていくか」で解決する世界はかなり大きいと思います。そういう意味では、当たり前のことですが、人間関係という一番基礎的な部分の大切さをこちらで教えてもらった気がします。逆に言えば、地域の方々がもっと村外の人と関わる場面が増えてもいいと思っています。先ほど述べたように、白馬には村外からもたくさんの思いを持った人達が来ていますが、そういった人達と村民との関係がより強固になれば、新しい何かがきっと生まれてくると思います。ノリは白馬ローカルと少し違うかもしれませんが、飲めば皆さん面白い人達なので。2年間、非常に濃厚で貴重な経験をさせて頂きましたが、この経験を糧にして、今後も日本の地域がどうすればよりよくなるかを考え、国での施策立案に生かしていきたいと思います。白馬がこの類まれな自然景観と人材を生かして、今後もますます飛躍することを影ながら応援しています。最後に皆さんに挨拶回りをしたのですが、とても全員の方々を回ることはできず、挨拶できずじまいになってしまった方々もおられます。この場を借りてお詫びいたします。。また遊びに来ますので、道で見かけたら気軽にお声がけください。それではまた!藤本元太 白馬を走る!最終回2