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概要

広報はくば5月号

2館報はくば Vol.497新田の幅上から切久保に向かう田園地帯を抜けたところの観音原には、西国・坂東・秩父の百体観音がそろっています。このほか馬頭観音など計187体の石仏が立ち並んでいます。四角な芝原の周囲を取り囲み壮観で独特な雰囲気を漂わせています。造立年代は江戸末期の文久年間と言われ、石工は不詳ですが、頬のふくらみから口元にかけて、そして像全体から受けるふくよかな相は、仏の心をよく彫りこんでいます。切久保の入口にあります庚申塚には、村で二番目に古い庚申塔があります。造立は天和三年全体的に細身ですが、造形的な美しさが漂っています。苔むしている頭部には、宝珠があったはずですが、現在行方不明なのが残念です。この庚申塚には二十三夜塔、如意輪観世音、馬頭観音など計11体あり、塩の道千国街道に面しており地域の人たちばかりでなく、旅人や歩荷(ぼっか)の安全加護の役を負ってくれていたことでありましょう。村内にはほかにも、各地区やお寺に多くの石仏群があります。近世後期に多くの石造文化財が造立された理由は村人たちの信仰心の高まりとともに、造立を願う人々の生活の余裕があり、観音信仰が広がったと思われます。近年になり、過疎化が進む中で石造文化財をどうしたらよいかという悩みの中で、グリーンスポーツの森の復元古民家に隣接したところに、無人となった集落から64体を移転して「白馬石仏公苑」ができました。この時節、遠い昔の地域の歴史と文化にふれ、ゆったりとした時を刻んでみませんか。野平の観音堂には青面金剛神を刻んだ村内最古の庚申塔があります。造立は「正保元年申ノ9月吉日」(1644年)正面に青面金剛神、下部に二鶏二猿を刻み、側面には造立に携わった人々の名前が見えます。白馬三山に正対する位置で素晴らしい眺望です。境内には庚申塔のほかに二十三夜塔、道祖神、如意輪観音、大乗妙典千部供養塔、大日如来などに23体があります。切久保庚申塚村内最古の庚申塔野平観音堂 石仏群切久保庚申塔観音原 西国・坂東・秩父百番観音石像弘法大師像