白馬連山の氷河調査(杓子沢・不帰沢・白馬沢)
杓子沢雪渓と不帰沢雪渓が氷河であることが確認されました!
令和2年度から白馬村では、新潟大学、白馬山案内人組合、白馬・山とスキーの総合資料館等と共に、氷河の可能性が高い杓子沢雪渓,不帰沢雪渓,白馬沢雪渓の調査を実施してきました。
2025年1月6日、この調査に関する学術論文が受理され、杓子沢雪渓と不帰沢雪渓が氷河であることが確認されました。これにより、すでに氷河と確認されている唐松沢氷河を含め、白馬村内に3つの氷河が存在することが明らかになりました。さらに、白馬沢雪渓についても、今年度氷河である可能性が高いデータが得られています。
特筆すべきは、杓子沢雪渓がJR大糸線白馬駅前や市街地からも見える位置にあり、「街から見える氷河」として貴重な存在となることです。
白馬村は、今後もこれら氷河を含む北アルプスの多様な自然環境を活かした山岳ツーリズムの推進や、学校教育・生涯学習における地域学習・環境教育の題材として活用していく方針です。これにより、地域内外の多くの人々に氷河の存在意義や魅力を伝え、白馬村の自然環境の素晴らしさと環境保全の重要性を広く周知していきます。
※氷河調査は長野県 地域発 元気づくり支援金を活用して実施しました。
杓子沢雪渓
調査方法
- セスナ空撮による質量収支観測
毎年同時期に空撮を行い、3Dモデル化して経年変化・質量収支を観測しています。 - 地中レーダー測定による氷厚観測
雪渓上で高周波の電磁波を氷体に照射し岩盤までの距離=氷の厚さを測定しています。 - GNSS測量機による流動観測等
雪渓にポールを立てて1 ヵ月・1 年間の位置情報の変化を測定しています。 - アイスコアの掘削・分析
氷体を掘削・解析して、氷河の形成メカニズムやどれくらい前に形成された氷かを推測します。
現地調査は、冬に降り積もった雪が融けて氷体が露出する9月〜10月に毎年実施しています。
天候によりスケジュール変更を余儀なくされたり、少雪によりアクセスルートが通行困難な状況になってしまったり、予定どおりに進められないことも多くありますが、安全を第一に取り組んでいます。
GNSS測量に用いるポール
掘削したアイスコア
氷河調査結果の活用
貴重な資源である氷河を、観光や教育・研究などの多分野で活用するための検討を行っています。
杓子沢雪渓は白馬駅から真正面に見える場所に位置しているため、氷河であることが確認されれば、「街から見える氷河」として、北アルプスに抱かれた白馬村を象徴する環境資源となります。
また、多様な地形・地層を有する北アルプスの山岳ツーリズムに組み込んだり、学校教育や生涯学習においても地域学習・環境教育として取り扱ったりすることで、地域内外の多くの方々に氷河が存在することの意義や魅力を伝え、白馬村の自然環境の素晴らしさや環境保全の重要性を多くの方に知っていただきたいと考えています。
街から見る杓子沢雪渓
調査隊の活動状況
氷河調査をふるさと納税で応援(終了しました)
白馬村では、氷河調査事業について、ふるさと納税制度を活用して寄附金を募る「ガバメントクラウドファンディング(GCF)」を実施しました。
42名の方から目標額の200万円を上回る寄附金をお寄せいただきました。
ご寄附いただいた皆様に感謝申し上げます。
ガバメントクラウドファンディング「街から見える氷河!?北アルプスの雪渓を調査して白馬の大自然を解き明かしたい!」
氷河に関する特別な返礼品をご用意
杓子沢雪渓の氷河調査に同行する権利や、北アルプスの氷河・雪渓群をヘリコプターから眺める遊覧ツアー、唐松沢氷河を眺められる白馬岩岳マウンテンリゾートを満喫できる返礼品などを提供しました。
寄附いただいた方全員に氷河調査報告書をお送りします。
詳細は、以下のページをご覧ください。
更新日:2025年01月22日