村長ブログ(令和5年4月26日~友好都市オーストリア レッヒ村訪問~)

4月12日から17日まで、白馬村の友好都市オーストリアのレッヒ村に行って参りました。

12日の午前に成田を出発し、まずはベルギーのブリュッセルまで14時間40分のフライト。
以前ロンドンに行った際にも、成田からブリュッセルまでの飛行機に乗ったことがありましたが、その時は12時間ほどでした。

これはロシア領空を回避するため空路が長くなったことによるものであり、国際情勢の影響がこうしたところにも表れているのを実感致しました。

グリーンランドの大地
グリーンランドの大地2

初めて見るグリーンランドの大地。

ブリュッセルで乗り継ぎ、1時間でチューリッヒ空港へ到着。

そこから車に乗り、レッヒ村に着いたのは深夜0時でした。



宿泊は、以前もお世話になったレッヒ村の元議長で白馬にも何度も訪れてくださっているペーターさんご家族の営む老舗ホテルDer Berghof。

お孫さんは、今シーズン白馬に来てお仕事をしてくださり、3代に渡る交流が続いています。

私にとっては10年ぶりとなるレッヒ訪問です。

Der Berghof
レッヒ村の元議長お孫さんと

13日は、午前中にレッヒ村の村長室を訪れ、昨年就任されたGerhard新村長にお会いし、ご挨拶と対談を致しました。

Gerhard村長は、オーバーレッヒという、レッヒの中でも少し小高いエリアにあるホテルを経営されており、私が10年前に視察したオーバーレッヒの地下トンネルプロジェクトを実行された発起人。

地下トンネルでエリア内のホテルを繋ぎ、資材の運搬やボイラーシステムを共有するという壮大でサステナブルな素晴らしい事業を、長い年月を掛けて近隣の住民の意識醸成を図り実現されたのは、レッヒの歴史に残る偉業であり、その中心人物が村長に就任され、今回お会いできたのは大変光栄でした。

Gerhard村長
オーバーレッヒの地下トンネル

前村長で以前から白馬にも何度も来てくださっている、スーパーマルチタレント公務員のステファンさんと観光局長のヘルマンさんも同席してくださいました。

スーパーマルチタレント公務員のステファンさんと観光局長のヘルマンさん
スーパーマルチタレント公務員のステファンさんと観光局長のヘルマンさん2

お二人とは以前から面識がありましたので、訪問を大変喜んでくださり、私もコロナ禍もあって久しくお会い出来ていなかったので、とても嬉しかったです。

今シーズンの冬の状況とアフターコロナに向けての課題を共有し、特に雪が減っている環境問題に対するアクションについて意見交換させて頂き、大変勉強になりました。

Gerhard村長も私と同じくEVに乗っており、雪の日でも大丈夫というのを自ら実証しているお仲間でした。



その後、観光局に立ち寄り、10年前との違いを実感しました。

10年前も白馬村より進んでいた案内パネルによる宿泊施設の検索システムが、さらにスリムになり小さなタブレットのみになっていました。

観光局案内パネル
観光局

レッヒ村はデジタルを先進的に導入して、観光面での利便性の向上や効率化がとても良く図られております。

今回は、白馬村観光局の代表理事も訪問団メンバーでしたので、しっかりと今後の参考にさせて頂きました。



正午に掛けては、スキー場視察に行きました。

季節外れの大雪で、視界はあまり良くありませんでしたが、スケールの大きさはしっかりと分かりました。

相変わらずの壮大さにまずは改めて驚きましたが、リフト同士の連絡の良さや、リフト一つ一つの快適性や利便性が以前より更に増し、都度感動しておりました。

スキー場視察
スキー場視察

ランチから夕方に掛けてのイベントとして、白馬村のシェフによる日本料理体験がスキー場内のレストランで開かれました。

この施設は2016年に完成し、絶景のレストランやテラスエリアがあるのですが、レッヒの友好リゾートそれぞれとコラボレーションしており、白馬村やアメリカの世界的スキーリゾート・ビーバークリークの旗が掲げられ、バーカウンター周りのモニターでは、それぞれのリゾートの映像が流れたり、寿司カウンターには「白馬」の書が飾られていたり。

白馬村のシェフによる日本料理体験
白馬村のシェフによる日本料理体験

今回は、レッヒではすっかりお馴染みの白馬の寿司マイスターの愛称で知られる元大使館料理人のシェフに加え、そのシェフの娘さんで和菓子製作のパティシエ、更に数年前に白馬に来た元イタリアン有名店のシェフと、3名がレッヒの地で腕を振るいました。

和食を作る場合、食材や調味料を集めるのが非常に困難なので、その調達方法も熟知している必要があります。

こうして若い世代が加わりレッヒとの交流で活躍してくれているのを大変嬉しく思うと共に、その作品の素晴らしさと美味しさに感動を致しました。

白馬村のシェフによる日本料理体験
白馬村のシェフによる日本料理体験

食文化は各地域が持つ資産であり、それを交流を通じて共有し感動を分かち合えるのは素晴らしい友好関係に感じます。

私は白馬村を代表し、スピーチをさせて頂きました。

10年ぶりに来ることが出来た喜びと、当時ステファンさんから頂いたメッセージについてお話しし、またシェフたちの料理が私たちにとっても特別であるということや、こうして文化交流を通じて友好が続いていることへの感謝を伝えました。

白馬村のシェフによる日本料理体験
白馬村のシェフによる日本料理体験

14日は、朝から昼過ぎに掛けて、お隣のサンアントンまでバスとスキーで行きました。
この日も驚くほどの大雪。

ヨーロッパでこの量が降るのは珍しく、お客さまたちが「JAPOWのようだ」と口々に言っていたのが印象的です。

大雪になりました
バス

10年前に来た時に今後建設予定と聞いていた3方向へ向かうゴンドラが完成しており、乗車致しました。

コロナ禍で大変な中でもレッヒ周辺はしっかりと計画通りにゴンドラ建設等の整備を行い、スキー場同士が繋がり、さらに確固たる滞在型リゾートへと進化していました。

一方で、街並みの統一性や美しさはそのままに。

これらは本当に学ばなくてはいけないといいますか、我々も頑張らないといけないと痛感しました。

ゴンドラ
街並みは昔のまま

サンアントンは野沢温泉村の友好都市です。

街中はレッヒより新しい投資が入った建物が多いイメージで、アパートメントタイプの宿泊施設もゲレンデ前にいくつか出来ていました。

レッヒよりは統一感が少し薄いですが、それでも日本と比べると非常に一体感のある美しい街並みに見えます。

シャトルバスも通年で十分な本数走っており、移動も大変便利です。

サンアントン
サンアントンのシャトルバス

夕方からは、恒例の友好都市のワインが決まるワインコンテスト。

この日はゲレンデではワインゴンドラというイベントも開催されており、地元の特産を活かしたツーリズムの振興が積極的であることが良く分かります。

試飲といっても気軽なテイスティングではなく、州ソムリエ協会の運営の元、テーブルに座って本格的に審査する厳格なコンテストです。審査するワインは、すでに専門家の審査を通過したもののみで、このコンテストは州の伝統の1つにもなっています。

ワインコンテスト
ワインコンテスト

今回優勝したワインは、友好のワインとなり、レッヒや白馬、ビーバークリークそれぞれのロゴが入り、各リゾートで今後提供をされることとなります。

そのコンテストの模様が地元メディアで報じられました。

https://www.meinbezirk.at/landeck/c-lokales/internationale-tourismuspartner-praesentieren-lecher-festwein-2023_a5992121

ワインコンテスト
ワインコンテスト

コンテスト後は、そのままディナーとなり、今回はビーバークリークからバイオリンとチェロのグループが来てくださり、電子音や光をミックスしたクラッシックとモダンを組み合わせたユニークな演奏を披露頂きました。

音楽による文化交流があるのも、この友好都市イベントの魅力です。

 

滞在最終日となる15日は、オーバーレッヒでアールベルクスキークラブの表彰式イベントがあったので、朝からスキーを履いてゲレンデへ向かいました。

途中、こちらも以前来た時は建設途中であった施設ですが、ゴンドラとリフトが一緒になった乗り物で、途中からゴンドラだけがその先の隣の村まで伸びているという日本では見たこともないリフト。

前回はまさに半分だけ出来ていてその先のコンセプトを伺っていたので、それが現実のものとなったのを体感して、なんとも言えない感動に浸りました。

スキー場へ
ゴンドラとリフトが一緒になった乗り物

オーバーレッヒのホテルでスキークラブの表彰式。

今シーズン世界で活躍した地元選手たちが表彰されました。

白馬村もスポーツ功労賞授与式がありますが、こんな大勢の人たちに拍手を貰う中でパーティー形式で出来たら選手たちも嬉しいだろうなと感じ、私どもも何とか参考にしたいと思うところです。
 

オーバーレッヒのホテルでスキークラブの表彰式
オーバーレッヒのホテルでスキークラブの表彰式

ダウンヒルの世界選手権銀メダリストや、白馬でも開催したフリーライドワールドツアーの決勝で表彰台に立った選手、同じく白馬でも今月行われたスキーマウンテニアリング(SKIMO)の世界大会準優勝者など、世界の舞台で今シーズン大活躍した選手をこんなに大勢輩出できているのは、まさにスノースポーツの環境が整っているお陰だと改めて感じました。

今シーズンの初めには、白馬村の中高生のスキーチームも、ここレッヒに来て練習をさせて頂きました。

その際にレッヒの方達に、ホテルの宿泊や食事、リフト券など大変サポート頂いて、円安が大変な状況であったにも関わらず素晴らしい練習環境で子供たちがスキーに打ち込むことが出来ました。

スポーツを通じた友好都市の交流が、こうした形で選手の育成にも貢献したことは、非常に有り難く大きな功績であり、関係者の皆様に心より感謝申し上げます。

オーバーレッヒのホテルでスキークラブの表彰式
オーバーレッヒのホテルでスキークラブの表彰式

この表彰式には、州首相のマルクス氏もゲストでいらっしゃっており、その場でアールベルクスキークラブの会員に認められ入会するというサプライズを受けており、私も席でそれを楽しく拝見していたのですが、その後に私も前に呼ばれて、白馬村長としてアールベルクスキークラブの会員に認められるというサプライズが待っていました。

まさか、州知事と同じタイミングでそのような事になるとは思ってもおりませんでしたので、とても驚きました。

ここでもインタビュースピーチを求められましたので、白馬のスキーチームが大変お世話になった事と、私もスキークラブ会員にさせて頂けた喜びと、スポーツを通じた交流が我々のコミュニティーや人と人とを繋いでいることの素晴らしさに感謝を述べました。

白馬村長では、三代前の福島村長が同じくアールベルクスキークラブの会員になっています。

アールベルクスキークラブの会員に認められるサプライズ
アールベルクスキークラブの会員に認められるサプライズ

夕方には、観光局長の案内で、現在建設中で来年完成予定の新庁舎を見学させて頂きました。

まずは外観の素晴らしさ。

私自身、木の温もりのある建物が非常に好きなので、この色味や素材の審美性に心を打たれます。

来年完成予定の新庁舎
来年完成予定の新庁舎

中は断熱の徹底はもちろんですが、ホールの機能やミーティングルームの利便性も非常によく考えられており、さらに道を挟んだ反対側と地下で繋いで駐車スペースを地下に作るなど、街全体の統一性も非常に良く考えられて計画されており、昨年ニセコ町の庁舎を視察した時もそうでしたが、こんな風に白馬も出来たらいいなと思う部分ばかりでした。

人口は白馬村の6分の1ほどのレッヒ村ですが、この庁舎の総工費は白馬村の年間予算総額よりも多い額です。観光を極め、高付加価値で質の高いサービスを提供し、それに見合った対価と客層を受け入れて健全な財政を実現している姿には、行政の立場としても深く考えさせられるものが多くありました。

来年完成予定の新庁舎を見学
来年完成予定の新庁舎を見学

この日の夜は、オーバーレッヒで友好都市交流のディナーレセプションがありました。

シェフチームは、朝からキッチンで料理の準備をし、この日も和食の盛り合わせと、和菓子が白馬から参加者に提供されました。

友好都市交流のディナーレセプション
友好都市交流のディナーレセプション

レセプションのお迎えは、レッヒの皆さんのアルプホルンの演奏。

白馬チームは、今回楽器はありませんでしたが、レッヒの方々が白馬に来られた際には、これまで和太鼓の演奏などを披露して音楽交流をしておりました。

ビーバークリークからは、お肉料理の提供があり、また今回参加が出来ませんでしたが、レッヒのもう一つの姉妹リゾートであるドイツのビーチリゾートのカンペンから牡蠣が提供されました。

このようなヨーロッパの山岳エリアで、牡蠣や和食が味わえるのは、友好都市交流ならではです。

レッヒの皆さんのアルプホルンの演奏
ドイツのビーチリゾートのカンペンから牡蠣が提供

この日も、ビーバークリークのバイオリンとチェロの演奏チームが、楽しい楽曲を披露してくださり、レセプションに花を添えてくれました。

ビーバークリークのバイオリンとチェロの演奏チーム
ビーバークリークのバイオリンとチェロの演奏チーム

そして、各リゾートの代表からお礼の挨拶。

ビーバークリークの元村長は、ベイルリゾートの村長もかつて務められていらっしゃった経験があり、まさに世界のトップスキーリゾートの首長マイスターで、今回も何度か席をご一緒させて頂く貴重な機会を頂きましたが、大変良い経験になりました。

挨拶
挨拶

私は、歓迎頂いたお礼の印として、白馬村から地元の農民芸術作品をレッヒの村長らにプレゼントさせて頂きました。

レッヒの村長からは、レッヒの歴史がまとめられた本を頂き。

お互いの地域の歴史や文化に敬意を表し、いつまでも大切にしていきたいと思います。

お礼のスピーチでは、10年前に来た後、世界がコロナや戦争で変わってしまったけれど、こうしてまた再び顔を見てお会い出来たことの喜びと、友好交流が続いていることへの感謝を伝え、私自身まだまだ経験が浅いけれど、次の世代にこうした素晴らしい歴史を繋いでいけるよう努力することをお約束致しました。

レッヒの歴史がまとめられた本のプレゼント
集合写真

翌朝は、正午にチューリッヒ発の便で帰国のため、朝食後にレッヒの皆さんに感謝とサヨナラを告げ、帰り路につきました。

お世話になった皆様、友好関係をこれまで築き上げて来て下さった皆様、大変ありがとうございました。

再来年は友好30周年の記念の年になります。

この記事に関するお問い合わせ先

総務課 総務係

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長野県北安曇郡白馬村大字北城7025
電話番号:0261-72-7002 ファックス:0261-72-7001
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更新日:2023年04月26日